「これが一番見たかったの?」
「そういうわけでもない」
「他に見たい映画はあったの?」
「いっぱい」
「それにも関わらず、なぜこれを見たの?」
「こういう固定ファンのいる映画は、瞬間動員力が高く、時間が経つと上映回数が極端に減ったりすぐ無くなったりするから」
「では君も固定ファンなのかい?」
「どうだろうね。少なくとも、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ 光のピラミッド』と『10thアニバーサリー 劇場版 遊☆戯☆王 〜超融合!時空を越えた絆〜』は見た。前者はテレビだけど、後者は劇場で」
「感想は?」
「こんなところかな」
- 心に深く食い込む描写が多く、それは良かった (今どきのオタクが最も受け付けないタイプの描写だ)
- 傲慢な海馬が格好良かった
- 作画が甘い箇所があったのは、今どきのアニメ界の水準を考えればしょうがないのかも。むしろ、ここぞという場面でしっかりした絵を見せてくれたことを評価したい
- 杏子の顔が杏子らしくない。より大人になった杏子という感じでもない。
- ここぞという場面でBMGが出てくるのはやはりBMGこそがヒロインか
- アテムが喋らないのは良い演出
- アテムが喋っていないのに遊戯は話をしたと言っているし、海馬は異次元でアテムと会っているし、結局アテムが何者か良く分からない。良く分からないまま残したのは良い演出。理屈を付けると破綻する
- 130分は長いが、長さはあまり気にならなかった
- エンディングの主題歌が格好良かった
- エンディングの文字が模様になっている部分が格好良かった
- 全般的にちゃんと大人向けの作りになっていた。遊☆戯☆王DM世代が大人になっていることを意識したチョイスだろう
- 戦闘機がちゃんと着陸脚を出して着陸しようとしているのに、あえてコクピットから飛び降りる海馬がかっこいい
「まとめると?」
「結局遊☆戯☆王DMをテレビでずっと見ていたわけで、その時間とは何であったかを考えさせられる」
オマケ §
「しかし、130分は長い。長いと迷走しがちだ。また、長いと余計なものが入っている可能性が高くなる。この映画の何が余計だったのかを考えていると恐いことに気づいた」
「なにが?」
「この映画、前半の主人公は文句なく海馬で、アテムとの再戦を望んでいる海馬の執念こそが物語を引っ張っている。ところが後半の主人公は武藤遊戯になってしまうのだ。演出が上手いからそれほど変な印象は与えていないが、実は前半と後半が上手くつながっていない。本当なら、クライマックスで海馬は退場しない。ディーバを蹴散らして、アテムに向かって【オレと戦え!】というべき立場」
「でも、それじゃファンが望んだアテム復活にならないよ」
「そうだな」
「で、結局何が余計だったの?」
「獏良はあまり意味がないのだが、過去の因縁を描くために必要なので外せないが、杏子と本田はいなくても良かったかなあ。実は城之内も上手く手直しすると削れる気がする。本田はほとんど物語的に貢献していないし、セラがヒロインとして機能していることを考えれば杏子もいなくて大丈夫」
「そういう問題をふまえても、良かった?」
「少し散らかり気味ではあるが、ダメ出しするほどではない。130分の時間も気にならないで最後まで見られた。まあこれで良いというのならこれでも良いだろう」
オマケ2 §
「主題歌がかっこいいと思ったら、【イギリスのロックユニットTHE EDEN HOUSEのアルバム『Smoke and Mirrors』(2009年発表)からの楽曲】なんだとさ」
「ACE COMBAT 5みたいに、かっこいい海外のロックを持ちこんでいるわけだね」
「それはそれでありだ」